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二尊院のご本尊さまと四天王

二尊院のご本尊さまと四天王

ご本尊(二尊仏)について

 二尊院は釈迦如来と阿弥陀如来(両躰ともに国指定重要文化財・鎌倉時代)という仏さまを2体で1つのご本尊様(通称:二尊仏)としてお祀りしております。この形式でお祀りするのは、たいへん稀少であり、仏教のスーパースターの特別ユニットといえるでしょう。

 では、おのおの役割が違う、二尊仏様についてご説明いたします。

釈迦如来

  • 釈迦如来

 穢土(えど)世界の教主です。穢土=娑婆。つまり私たちが生きているとされるこの世界のことをいいます。迷いや過ちに苛まれ苦しむ私たちを憐れみ、自らの使命として敢えて穢土に成仏をして、どのような罪深い人でも救済の手を差し伸べ、災悪や苦悩の輪廻から解き放つため、教化により安らぎと喜びの世界へ導く仏さまです。

阿弥陀如来

  • 阿弥陀如来

 浄土世界の教主です。浄土=極楽。つまり仏さまが住んでいるとされる世界のことをいいます。自らの誓願を立て長い期間修行を積み、迷いや過ちに苛まれ苦しむことの無い極楽浄土を生み出し成仏をして、どのような罪深い人でも救済の手を差し伸べ、災悪や苦悩の輪廻から解き放ち極めて楽しい世界へ導く仏さまです。

ご本尊「二尊仏」の願い

 この双方のご本尊さまは、穢土と浄土という全く正反対の世界の教主仏ですが、私たちを救済したいという目的と願いは全く同じです。アプローチが違うだけなのです。

 お釈迦さまは、下界の私たちが仏心を磨くことで、どこに視点をやり、どのように捉え、気づき感じるかで、見える世界は変わることを教示してくださいます。これを向上門といいます。

 逆に阿弥陀さまは上界から浄らかな世界が、いかに素晴らしい所かを紹介して、仏心を磨くことが、どれだけ有意義なことかを教示してくださいます。これを向下門といいます。

 つまり私たちの住むこの世界は、自身の心の中が穢れていると穢土となり、自身の心が浄らかならば浄土となる複合世界になります。これを「密厳国土(みつごんこくど)」と称します。

 そう考えますと極楽への往生は自身と仏が互いに向上(修行)心と向下(救済)心を持ってすり寄ることで、より早く達成するものであり、極楽は果てしなく遠い所にあるものではなく、思っているより身近なところになるのですよと訴えかけているのが、本尊の二尊仏さまです。

 二尊仏さまはどなたにも、スムーズにかつ確実に極楽往生をしてもらいたいので、二人掛かりで導いてくださっています。その導かれた人のひとりが楊貴妃なのです。

四天王 (山口県指定有形文化財・鎌倉時代)

  • 持国天

 役割は本尊の、四方向に分かれて、仏様や仏教の教えを亡き者にしようとする邪鬼などの魔物から仏様や仏法を守ることです。

 四天王は仏教世界において天部(神様)に属します。つまり仏さまではなく、これらの存在を守り、仏法に帰依する存在です。

 日本で四天王が広く信仰されるきっかけとなったのは聖徳太子といわれており、その後、東大寺の大仏の建立や全国の国分寺・国分尼寺建立など、仏教による日本国の護国を願った聖武天皇も「金光明最勝王経(こんこうみょうさいしょうおうきょう)」というお経を元に四天王を深く信心しました。

 二尊院の四天王像は、二尊仏さまを囲うように持国天(東)・増長天(南)・広目天(西)・多聞天(北)に配置されています。東大寺大仏殿の四天王像に類似しており、体勢・身色・持物などがほぼ一致する、全国的に見ても稀有な尊像です。

 仏のみならず、私たちを災いから守る最強の守護神という性格に加え、二尊仏さまを補佐してご利益を授け救済をしてくれる福徳神という性格も持つ神様です。足元に目をやると邪鬼を踏みつけ、悪者を成敗する迫力を感じさせています。四天王像を参拝するときはぜひ足元にも注目してみてください。